一日一美。

日常にひそむ美しいものを見いだして、残していきたい。一日一美。

さかづきに春の涙をそそきける昔に似たる旅のまとゐに

さかづきに春の涙をそそきける昔に似たる旅のまとゐに
 

  

白居易の「十年三月三十日 微之に澧上に別れ十四年三月十一日夜 微之に峡中に遇ふ」の「酔悲して涙を灑ぐ春盃の裏」を踏まえています。

 

白居易では「春のさかづき」ですが、式子内親王の歌では「さかづきに春の涙を」となっています。

「春の涙」とはなにか、と心めぐらさずにはいられない魅力があります。

 

 

 

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当時のさかづきは、こんなに鮮やかな朱塗ではないでしょうね……。

漆の器の艶は、なんとも言えない奥行きがあって見飽きません。

 

2017.4.15撮影

 

 

紅花常葉満作

華やかな紅色のリボンをめいっぱい開いていました。

 

マンサク、シナマンサクの少し後に咲くマンサクの赤花……

 

と思うでしょう。

リボンのような花弁が多くついて花の形も時期も

マンサクを思わせます。

 

が、違いました。

今回、ここに載せるにあたって調べてみたら、マンサクではありませんでした。

 

マンサク科トキワマンサク属に1種だけ存在するトキワマンサクの赤花の変種。

まあ、マンサクに全然関係ないわけじゃないのですが、

マンサクとトサミズキくらいの関係のようです。

植物の種類は、見た目や名前だけでは思いもよらないことがあって興味深いです。

 

紅花常葉満作(ベニバナトキワマンサク)、赤花常葉満作(アカバトキワマンサク)とも言うようです。

 

 

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2017.4.22撮影

京都府立植物園

いちはつの花咲きいでて我目には今年ばかりの春ゆかんとす

いちはつの花咲きいでて我目には今年ばかりの春ゆかんとす

正岡子規】 


アヤメ類の中で一番初めに咲くから「一初」

 

この後、菖蒲が来て、葵祭があって、あやめが咲いて、大田神社のかきつばたの季節が来るのです。

今年は、まだ咲きそろっていません。あと一週間ほどでしょうか。

 

まさに、「はるゆかんとす」。

病床にあった子規にとって、いちはつによって別れを告げようとしている今年の春は、ほんとうに「今年ばかりの春」となりました。

 

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2017.4.23撮影

上御霊神社

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤマグルマ~花弁も萼もない花

ヤマグルマの花

 

私は初見でした。

花弁も萼もない花が、樹上で光を受けて輝いています。

トリモチ(鳥や虫を捉えるための粘着性物質)を出す木として重用されていたそう。

今は日常で必要としないけれど、かつてはなくてはならない機能を持った植物は、たくさんあるのでしょうね。

 

 

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2017.4.22撮影

京都府立植物園

桜色にわが身はふかくなりぬらむ心にしめて花を惜しめば 

桜色にわが身はふかくなりぬらむ心にしめて花を惜しめば
 
詠み人知らず。
拾遺集所収。
 
心に深く思って花を惜しむので、わが身は深い桜色になってしまっただろう……。
 
 

 

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桜「糸括(いとくくり)」 

小花柄が長く束になって垂れ下がることから名付けられた。

午後からは五月晴れと言っていいほどの天気になった日。

染井吉野はすでに葉桜への姿を変えつつあったが、

八重桜のいくつかは盛りを迎えていた。

薄桃色の花弁が重なり合うと桃の濃さを増し、

光が透けると染井吉野のような仄白さを見せる。

光の濃淡をこそ眼は見ているのだと思い出させられる。

 

2017.4.23撮影

京都府立植物園

 

 

 

手拭風に再び解けて新茶摘む 【阿部みどり女】

手拭風に再び解けて新茶摘む

 

 

【阿部みどり女】

 

茶碗のなかの抹茶をのぞくたびに、感慨にとらわれる。

おどろくほどの華やかな緑。

新緑よりもなお光を放つ緑。

 

火を入れ保存しているはずなのに、こんなにも鮮やかな。

 

「茶摘」は春の季語。

「新茶」は夏の季語。

 

新茶が待ち遠しいですね。

 

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2017.4.23撮影

むらさきかたばみ(紫片喰、紫酢漿草)

石垣に健気に咲いている、艶のある可愛らしい花。

御所の石垣に馴染んで……

 

と思いましたが、

南アメリカ原産の帰化植物であることは、今回調べて初めて知りました。

葉の形から「カタバミ」だろうなとは思っていたのですが、環境省により要注意外来生物に指定されているとは。

 

難しい問題です。。。

 

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2017.04.23撮影

京都御苑石垣(烏丸通