「レイディ・フォルトゥナの意のままにならないのは、たった一つ、あなたの振る舞いだけだ」
「レイディ・フォルトゥナの意のままにならないのは、たった一つ、あなたの振る舞いだけだ。幸運を祈る。」
ナシーム・ニコラス・タレブの”Fooled by Randomness"(日本語タイトル「まぐれ」)のエピローグの手前、第14章の結びの言葉である。
この一節にたどり着いたとき、お風呂でしばらく泣いた。
「ブラック・スワンー不確実性とリスクの本質」を読んだときと同じ、悲哀とも諦念とも救いとも言えるような、全てが混じり合ったような感慨に打たれて。
わたしたちの運命を決定しているのは、因果よりも偶然の要素の方がずっと大きい。
努力してもすべては無駄に終わるかもしれないのだ。
そして、基本的に私たちの脳は、偶然を受け容れられないで、因果を見出だそうとしてしまう。
酷い目に遭っても、運命の女神の意のままにならないようにできるのは、ただ自分の振る舞い―――尊厳ある振舞いだけである。
その一点だけは、「有能な脳」を持たない人間に残された砦なのであるという事実が、恩寵である。
「偶然は、因果よりも基本的な概念である」と「ブラック・スワンー不確実性とリスクの本質」で述べているN.N.タレブは、こんな救いの言葉も言っている。
「地球の10億倍の大きさの惑星があって、その近くに塵が1粒漂っている。あなたが生まれるオッズは、塵の方だ。
だから、小さいことでクヨクヨするのはやめよう。
贈り物にお城を貰っておいて、風呂場のカビを気にするような恩知らずになってはいけない。」
この本を勧めてくれた本好きの方に感謝します。
2017.05.17撮影
緊急停車した新幹線車内から