一日一美。

日常にひそむ美しいものを見いだして、残していきたい。一日一美。

藤田嗣治展(京都国立近代美術館)2018年11月

没後50年 藤田嗣治展 | 京都国立近代美術館

に行きました。

 

twitterで会話をしていたら、どこかに載せておいてほしいとの要望をいただきましたので、何年ぶりかにこちらを復活します。

 

 藤田嗣治と言えば、 「乳白色の裸婦」「乳白色の女性像」… 乳白色の下地に細い線で東洋風味の(西洋受けしそうな、西洋から見たエキゾチズムな)絵ばかり… と、見る前は思っておりました。

 その印象しかなかったんですが、足を運んで見ると全く違いました。

 

 展示は、彼の生育環境から始まり、留学、帰国、再びのフランス、永住、永眠という流れで構成されており、その合間に南米など旅を続ける暮らしが挟み込まれます。 その合間に三度の戦争があり、非常に意外な「アッツ島玉砕」のような大きな油絵もありました。

 彼の人生を追体験できるような構成になっており、最初からあの乳白色の絵を描いていたわけではないことや、南米での絵が非常に「藤田嗣治の印象」とは遠いこと、キリスト教に帰依し、自ら日常の道具を作る中でキリスト教的なものを取り入れていること…。意外な面の多さに、「藤田嗣治ってこうでしょ?」といった思い込みを剥がされていく思いです。

 とくに日常の小物や玩具的な雑貨を自分で作り、最後の妻との生活を彩っていることが興味深く感じました。彼は商業的な絵だけを描いていたわけではないのです。
 その日常を彩るさまざまな物が、藤田嗣治という人自身の手の動きや息遣いを感じさせるようで、突然内面に触れたような気がしました。
 最近の美術展では、大作を見せるだけではない、作家の人生そのものを見せてくれるものが多くて、とても楽しいですね。