一日一美。

日常にひそむ美しいものを見いだして、残していきたい。一日一美。

安房直子氏の著作に出てくる、おいしそうな食べ物のリスト(2020.07.30.)

安房直子氏の著作に出てくる、おいしそうな食べ物

 

 Twitterで「安房直子さんの物語に出てくるなかで食べたいもの」をピックアップしてると、盛り上がってしまい。

 データベースというかリストを作ってみよう!という話に。

 そして、自分のEvernoteやWorkfowyに検索をかけてみたら、食べ物に関して20くらい抜き書きが出てきたので、とりあえず公開。

 地道に増やしていきたいと思います。

 抜き書きもこの表記が「美味しそうなのかどうなのか」という観点から、試行錯誤しつつ。

 

 

  • 「たまねぎのスープ、どう?」/『ひめねずみとガラスのストーブ』
  • りんごの甘煮は、白くつめたく、すきとおっていました。『ゆきひらの話』
  • まるで、のぼりたての月のようなそのくだものを、みゆきは、皮もむかずに食べました。あまくつめたく、とびきりみずみずしい梨でした。/『天の鹿』
  • わんの中には、やまのいもと、栗と、大根がはいっていました。しめじも、まつたけも、しいたけもはいっていました。その白いゆげが、ふうっと顔にかかったとき、みゆきの胸は、ほのぼのとしたしあわせの思いでいっぱいになりました。/『天の鹿』
  • かわいいパイをひとつ焼いてごらんなさい。つくり方は、このあいだ教えましたね。生のサケと、マッシュルームと、薬味草を使います。味つけは、ひきたての黒コショウと、塩です。それを、小さい魚のかたちに焼きあげて、まっ白のナフキンにつつむんです。/『海の館のひらめ』
  • ……いまの季節なら、たんぽぽの料理も、おいしいです。たんぽぽの花のサラダに、たんぽぽの葉のおひたし、それから、たらの芽のてんぷらに、つりがねにんじんの油いため、それから……そうそう、雪笹を知っていますか。あれは、とびきりですよ。 /『月夜のテーブルかけ』
  • あのときは、庭のあんずが、鈴なりでしてね。/『あるジャム屋の話』
  • このときふっと、わたしの胸に、ジャムの煮えるあのなんともいえないいいにおいが、うかんできたのです。/『あるジャム屋の話』
  • たとえば、野ばらのジャム。桑の実のジャム、山すもものジャム、木いちごのジャム、こけもものジャム、かりんのジャム、ラズベリーのジャム、野菊のジャム、アカシヤの花のジャム……。/『あるジャム屋の話』
  • わたしはそっと、ブルーベリーのしげみの中に、ふみこんでゆきました。そうして手をのばして、濃い青色の、小さな実をひとつぶ、もぎとりました。ほんのりと、白い粉(こ)のふきでた、みずみずしいくだものです。口にふくめば、あまずっぱい味がします。 /『あるジャム屋の話』
  • たしかに、そこは、しいんと静かで、だれひとりいないどころか、これまでも、だれにも荒らされたことのない場所のようでした。ここで、毎年毎年、あの小さな青い実がみのり、だれにもつまれることなく、熟れて地に落ちていったのでしょうか……。/『あるジャム屋の話』
  • サファイア色をした小さな木の実は、舌の上にのせれば、しんとつめたくて、一滴の泉のようでした。/『あるジャム屋の話』 
  • それからひっそりと、ブルーベリーの実を洗って、ジャムをこしらえました。あの小さな実を、とろとろと煮つめて、濃い紫色の美しいジャムを、心をこめてつくったのです。そうして、夜になりますと、ふたりぶんのロシア紅茶のしたくをしました。/『あるジャム屋の話』
  • よもぎの、やわらかい芽をつんで、それをかごにいっぱい持ってかえれば、どの家でも、よもぎのだんごをこしらえてくれます。できたてのよもぎだんごに、あまいあずきをつけて食べたら、体の中にまで、春がくるようです。/『よもぎが原の風』
  • あずきも砂糖も使っていないのに、それはとてもあまいのでした。そして、よもぎのかおりが、なんともいえないのでした。/『よもぎが原の風』
  • そして、いちばんすばらしかったのは、〈さくらアイスクリーム〉です。これは、まんまるいアイスクリームで、うすいガラスのお皿にのっています。きっと、花びらをしぼって色をだしたのでしょう、アイスクリームは、朝焼けの雲の色でした。/『花びらづくし』
  • ちりんとすずしい音をたててガラスのスプーンが、そえられます。それですくって、ひと口食べますと、ほんのりと、いいにおいがします。あまくてつめたくて、さわやかで、そのおいしいことおいしいこと……(略)/『花びらづくし』
  • 小鳥とばらを、パイにいれたら……ああ、きっと、春の森みたいな食べものができるわ!/『小鳥とばら』
  • こんがりと焼けたパイは、バターとばらのにおいがしました。ふっと、少女はめまいがしました。/『小鳥とばら』
  • パイは、花のかおりと、バターのかおりがしました。/『小鳥とばら』
  • 小鳥のばらのパイを、すっかり食べおわったとき、少女の胸のなかには、美しい春の森がひとつ、できたようでした。/『小鳥とばら』
  • ごはんは、自分でおかわりして、セリのうかんだおつゆを飲んで、つる菜の歯触りを、楽しんでいるうちに、ぼくは、すっかりいい気持になりました。/『谷間の宿』
  • 夕食には、かならず、あのふしぎなおわんがだされた。おわんの中身は、せりのみそ汁だったり、すまし汁だったりする。汁ものばかりとはかぎらない。たけのこの煮ものや、わらびのおひたしや、ときには川魚のすきとおるように白い刺身が、花びらのように盛られていたりする。/『ききょうの娘』
  • 「これを飲むと、体があたたまるよ。三日月村の、十七種類の薬草がはいっているからね。」十七種類もの草がはいっているにしては、すきとおったスープです。花のにおいと、土のにおいがします。 /『三日月村の黒猫』
  • 小さなおわんを、口にはこぶと、ふっと、ゆずのにおいがしました。おわんの中身は、ひと口でぜんぶがすすれました。その味は、ひとことでいえば、山の味、山のにおいが、さあっと、のどをとおりぬけて、おなかに落ちていったという感じです。/『ねずみの福引』
  • 「茂平さん、いのししのつくるふろふき大根は、特別でしてね、このゆげがすばらしいのですよ。このゆげを、じいっと見ていますとね、心があったかくなりましてね、悲しいことやいやなことなんか、みんな忘れてしまいます。われわれは、そのために、ふろふき大根をつくるんです。」/『ふろふき大根のゆうべ』
  • 「さあ、どうぞどうぞ。今夜は、とびきりおいしいクルミみそがありますよ。」/『ふろふき大根のゆうべ』
  • じゃがいもと牛乳が、とてもおいしい、北の町の話です。/『空色のゆりいす』
  • つややかな空色のお皿は、なにを盛っても、はえそうでした。とくに、もぎたてのくだものなんかをのせたら、どんなにおいしそうに見えるだろうかと思いました。/『鶴の家』
  • ある日、嫁さんは、思いきって、青いお皿に、おむすびをならべてみました。そして思わず、「ほっ」と、さけびました。麦ごはんに塩をまぶしただけのおむすびが、青いお皿の上に置かれると、たちまち、きりりと白く、おいしそうに見えてきたのです。/『鶴の家』
  • 青豆のスープ、赤かぶのシチュー、ふきの葉のいためもの、りんごとクルミのサラダ、野ばらの実のゼリー。 /『べにばらホテルのお客』

    f:id:perack:20200730200027j:plain

    安房直子さんの『ひめねずみとガラスのストーブ』