一日一美。

日常にひそむ美しいものを見いだして、残していきたい。一日一美。一日一興。一日一驚。

あつき名や天竺牡丹日でり草/子規

あつき名や天竺牡丹日でり草 【正岡子規】 今年の夏は、梅雨明けした後も湿度が高く、すごしづらい夏です。 差して来る陽に痛みすら感じながら、 昼日中に庭の伸びすぎた花を剪る。 紅と白のポンポン、千日紅 鮮やかな黄色、女郎花 桃色をうちに秘めた下野草…

飛鳥川あすは知らねど水色に今日はにほへるあぢさゐの花/一葉

飛鳥川あすは知らねど水色に今日はにほへるあぢさゐの花 【樋口一葉】 奈良の大和文華館を訪ねました。 人気のない静かな緑の道を ゆったりと上がっていくと 白砂となまこ塀の白が目に眩しい美術館にたどりつきます。 2017年7月7日~8月20日は「宴の器」展を…

けふくれば麻の立枝に木綿かけて夏みな月のはらへをぞずる 【夏越の祓】

けふくれば麻の立枝に木綿かけて夏みな月のはらへをぞずる 【藤原季通朝臣】 #詞華 ※木綿(ゆふ) 六月尽もまぢか。 夏越の祓の茅の輪が、神社にしつらえられるようになりました。 夏越の祓は、半年に一度の厄落としのひとつ。 茅の輪がかかげられると、「あ…

夏は、夜。闇もなほ。螢の多く飛び違ひたる―――

夏は、夜。月の頃はさらなり。闇もなほ。螢の多く飛び違ひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。 【清少納言・枕草子】 もう、疎水の螢はほとんど終わっているのか、 わずかな輝きがときおり弱く光るだけだっ…

照柿

JR京都駅。 階段を上がって、ふと開けた空間で、 剥き出しの鉄骨の向こうに、 いままさに輝きを増さんとする夕陽が 目に飛び込んできました。 金属の鉄骨が黒い影になって、 却って夕陽の赤さをぎらぎらと引き立ているようです。 これはなんだったか…… 照柿…

「レイディ・フォルトゥナの意のままにならないのは、たった一つ、あなたの振る舞いだけだ」

「レイディ・フォルトゥナの意のままにならないのは、たった一つ、あなたの振る舞いだけだ。幸運を祈る。」 ナシーム・ニコラス・タレブの”Fooled by Randomness"(日本語タイトル「まぐれ」)のエピローグの手前、第14章の結びの言葉である。 この一節にた…

なほ生きむわれのいのちの薄き濃き強ひてなげかじあぢさゐのはな

なほ生きむわれのいのちの薄き濃き強ひてなげかじあぢさゐのはな 【齋藤史】 #詞華 まだ盛りとは言えぬ六月初旬のあじさい園。 足を踏み入れるだけで、胸の中までひんやりとした緑に染まりそうな気がする。 紫陽花の茂みを縫って進むと、 次々とあらわれるさ…

まるで金平糖、まるで星型の砂糖菓子、まるでアポロチョコ

なんとか間に合ったカルミア。 この世でもっとも可愛い花。 晩春から初夏に小さな星型の花をびっしりとつけます。 蕾が膨らんでくると、 まるでクリームを絞ったお菓子、 まるで金平糖、 まるでホワイトチョコレートでできたアポロチョコ…… 木いっぱいになっ…

ゆふぐれの泰山木の白花は われのなげきをおほふがごとし

ゆふぐれの泰山木の白花は われのなげきをおほふがごとし 【斎藤茂吉】 #詞華 泰山木の花は非常に大きく、赤ん坊の頭より大きいくらい。 直径25cmにもなるといいます。 風向きによっては、遠くでもそれとわかるほどの、甘い香りを放ちます。 近づくと爽や…

神山や大田の沢のかきつばた ふかきたのみは色にみゆらむ

神山や大田の沢のかきつばた ふかきたのみは色にみゆらむ 【藤原俊成】 「神山」は「こうやま」と読みます。 「神山」は賀茂別雷命の降臨地で、上賀茂神社の後背地の山を指します。 京都の初夏の風物詩ですね。 歌に詠まれたカキツバタは、大田の沢のカキツ…

水伝ふ磯の浦廻の石つつじ 茂く咲く道をまたも見むかも

水伝ふ磯の浦廻の石つつじ 茂く咲く道をまたも見むかも 日並皇子舎人 「みなつたふいそのうらみのいはつつじ もくさくみちをまたもみむかも」 日並皇子とは草壁皇子のこと。 草壁皇子が皇位に就く直前に病没した際に、舎人が詠んだ(詠むことを許された)歌…

すずらんの日

今日、5月1日は「すずらんの日」。 フランスでは、すずらんを贈り合ったり、今日だけは誰もがすずらんを売ってもいいとか。 鈴がふるふるとなるようについている形は、ほんとうに可愛らしい。 ただ、すずらんは強い毒を持っているので注意が必要です。 2017.…

虹を吐てひらかんとする牡丹かな 

虹を吐てひらかんとする牡丹かな 【与謝蕪村】 虹を吐く。 まさにそう思わせる大輪。 牡丹「南部の里」 2017.04.30撮影 京都府立植物園

国破れて山河在り 城 春にして草木深し

「春望」 杜甫 國破山河在 城春草木深 感時花濺涙 恨別鳥驚心 烽火連三月 家書抵萬金 白頭掻更短 渾欲不勝簪 国破れて山河在り 城 春にして草木深し 時に感じては花にも涙を濺(そそ)ぎ 別れを恨んでは鳥にも心を驚かす 烽火 三月に連なり 家書 万金に抵(…

さかづきに春の涙をそそきける昔に似たる旅のまとゐに

さかづきに春の涙をそそきける昔に似たる旅のまとゐに 【式子内親王】 白居易の「十年三月三十日 微之に澧上に別れ十四年三月十一日夜 微之に峡中に遇ふ」の「酔悲して涙を灑ぐ春盃の裏」を踏まえています。 白居易では「春のさかづき」ですが、式子内親王の…

紅花常葉満作

華やかな紅色のリボンをめいっぱい開いていました。 マンサク、シナマンサクの少し後に咲くマンサクの赤花…… と思うでしょう。 リボンのような花弁が多くついて花の形も時期も マンサクを思わせます。 が、違いました。 今回、ここに載せるにあたって調べて…

いちはつの花咲きいでて我目には今年ばかりの春ゆかんとす

いちはつの花咲きいでて我目には今年ばかりの春ゆかんとす 【正岡子規】 アヤメ類の中で一番初めに咲くから「一初」 この後、菖蒲が来て、葵祭があって、あやめが咲いて、大田神社のかきつばたの季節が来るのです。 今年は、まだ咲きそろっていません。あと…

ヤマグルマ~花弁も萼もない花

ヤマグルマの花 私は初見でした。 花弁も萼もない花が、樹上で光を受けて輝いています。 トリモチ(鳥や虫を捉えるための粘着性物質)を出す木として重用されていたそう。 今は日常で必要としないけれど、かつてはなくてはならない機能を持った植物は、たく…

桜色にわが身はふかくなりぬらむ心にしめて花を惜しめば 

桜色にわが身はふかくなりぬらむ心にしめて花を惜しめば 詠み人知らず。 拾遺集所収。 心に深く思って花を惜しむので、わが身は深い桜色になってしまっただろう……。 桜「糸括(いとくくり)」 小花柄が長く束になって垂れ下がることから名付けられた。 午後…

手拭風に再び解けて新茶摘む 【阿部みどり女】

手拭風に再び解けて新茶摘む 【阿部みどり女】 茶碗のなかの抹茶をのぞくたびに、感慨にとらわれる。 おどろくほどの華やかな緑。 新緑よりもなお光を放つ緑。 火を入れ保存しているはずなのに、こんなにも鮮やかな。 「茶摘」は春の季語。 「新茶」は夏の季…

むらさきかたばみ(紫片喰、紫酢漿草)

石垣に健気に咲いている、艶のある可愛らしい花。 御所の石垣に馴染んで…… と思いましたが、 南アメリカ原産の帰化植物であることは、今回調べて初めて知りました。 葉の形から「カタバミ」だろうなとは思っていたのですが、環境省により要注意外来生物に指…

筍の光放つてむかれたり  

筍の光放つてむかれたり 【渡辺水巴】 2017.4.22 京都府立植物園にて撮影

かはづ鳴く甘南備川に影見えて今か咲くらむ山吹の花

かはづ鳴く甘南備川に影見えて今か咲くらむ山吹の花 【厚見王・万葉集】 やまぶきは一重咲と八重咲があり、4月から5月にかけて一斉に花を開きます。 こぼれ落ちた花弁が散るさまは、これぞ花の散る美しさといった風情があります。 一重咲のやまぶき 2017.4.2…

それは、春の青空の下に、ぽってりと咲いた八重桜の

それは、春の青空の下に、ぽってりと咲いた八重桜のきれはしでした。わたしは、こんなに美しいちりめんを、今までに一度も見たことがなかったのです。 【安房直子「秘密の発電所」】 2017.4.22 京都府立植物園 桜「関山」

さくら花ちりぬる風のなごりには

さくら花ちりぬる風のなごりには水なき空に波ぞたちける 【紀貫之】 四月下旬に盛りを迎えたと見える枝垂桜。 2017.4.22 京都府立植物園

一日一美(ツタンカーメンのエンドウマメ)

日常にひそむ美しいものを見いだしたい。 そして、それを残したい。 一日一美。 アカエンドウ。 別名「ツタンカーメンのエンドウマメ」 2017.4.22 京都府立植物園にて撮影。