一日一美。

日常にひそむ美しいものを見いだして、残していきたい。一日一美。

2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

けふくれば麻の立枝に木綿かけて夏みな月のはらへをぞずる 【夏越の祓】

けふくれば麻の立枝に木綿かけて夏みな月のはらへをぞずる 【藤原季通朝臣】 #詞華 ※木綿(ゆふ) 六月尽もまぢか。 夏越の祓の茅の輪が、神社にしつらえられるようになりました。 夏越の祓は、半年に一度の厄落としのひとつ。 茅の輪がかかげられると、「あ…

夏は、夜。闇もなほ。螢の多く飛び違ひたる―――

夏は、夜。月の頃はさらなり。闇もなほ。螢の多く飛び違ひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。 【清少納言・枕草子】 もう、疎水の螢はほとんど終わっているのか、 わずかな輝きがときおり弱く光るだけだっ…

照柿

JR京都駅。 階段を上がって、ふと開けた空間で、 剥き出しの鉄骨の向こうに、 いままさに輝きを増さんとする夕陽が 目に飛び込んできました。 金属の鉄骨が黒い影になって、 却って夕陽の赤さをぎらぎらと引き立ているようです。 これはなんだったか…… 照柿…

「レイディ・フォルトゥナの意のままにならないのは、たった一つ、あなたの振る舞いだけだ」

「レイディ・フォルトゥナの意のままにならないのは、たった一つ、あなたの振る舞いだけだ。幸運を祈る。」 ナシーム・ニコラス・タレブの”Fooled by Randomness"(日本語タイトル「まぐれ」)のエピローグの手前、第14章の結びの言葉である。 この一節にた…

なほ生きむわれのいのちの薄き濃き強ひてなげかじあぢさゐのはな

なほ生きむわれのいのちの薄き濃き強ひてなげかじあぢさゐのはな 【齋藤史】 #詞華 まだ盛りとは言えぬ六月初旬のあじさい園。 足を踏み入れるだけで、胸の中までひんやりとした緑に染まりそうな気がする。 紫陽花の茂みを縫って進むと、 次々とあらわれるさ…

まるで金平糖、まるで星型の砂糖菓子、まるでアポロチョコ

なんとか間に合ったカルミア。 この世でもっとも可愛い花。 晩春から初夏に小さな星型の花をびっしりとつけます。 蕾が膨らんでくると、 まるでクリームを絞ったお菓子、 まるで金平糖、 まるでホワイトチョコレートでできたアポロチョコ…… 木いっぱいになっ…

ゆふぐれの泰山木の白花は われのなげきをおほふがごとし

ゆふぐれの泰山木の白花は われのなげきをおほふがごとし 【斎藤茂吉】 #詞華 泰山木の花は非常に大きく、赤ん坊の頭より大きいくらい。 直径25cmにもなるといいます。 風向きによっては、遠くでもそれとわかるほどの、甘い香りを放ちます。 近づくと爽や…